12月になり、空気の冷たさに冬の到来を感じる今日この頃。いよいよあと5日で、保育園生活最後の発表会を迎えるゆり組さん。何より願うことは「みんなが揃って発表会ができますように!」ただそれだけです。11月の終わりからインフルエンザの流行でなかなか全員が揃わない日々…でも休んでいる友だちのところを「するする!」「やるよ!」と快く手を挙げ、誰かが代役を務めながら練習を重ねてきました。休んでいた友だちが復活すると「ジャックが来たね。これで揃ったね。」と、子どもたち同士で喜び合い「先生、劇の練習いつする?」と保育者に尋ね、やる気に満ちた表情を見ていると、「みんなで同じ目標に向かって取り組んでいく」とはこういうことだと、子どもたちから改めて気づかされました。今年のゆり組さんの演目は劇と鼓隊を披露します。
劇「ジャックと豆の木」
10月の終わりにゆり組は人形劇観劇に出かけました。そこで観た「ジャックと豆の木」は今までみてきた紙芝居や絵本とはちょっと違って、おもしろおかしくアレンジが加わり、その楽しい展開にゆり組さんは釘付けになりました。次の日には「ジャックと豆の木ごっこ」が始まり、これは劇にするときっと楽しいぞ!という思いから、発表会へと繋がっていきました。配役を決める際に、「豆がしたい!」と、思いもよらぬ声。保育者困った(笑)でもせっかくの声を無駄にはしたくない!「豆…豆か…よし!豆の役も作ろう!」ということで、豆役はゆり組の劇オリジナルのものとなりました。
背景や大道具、小道具も一緒に作っていきました。「こうしたらいいんじゃない?」「こうやったら楽しいかも。」とみんなでアイデアを出しながら進めてきました。台詞に合わせた身振り手振り、言い方などを考える姿には「もっと劇を面白くしたい!」という意欲も感じられました。
勇気をもって1歩を踏み出すのんびり屋だけど優しいジャックの物語。ジャックの周りには個性豊かな登場人物が揃っています。役になりきって表現する姿のかわいらしさと、役とは別に、ナレーションをしたり、大道具小道具の出し入れを担ったりと、一人一人が自分の役割を果たそうと奮闘する姿を楽しみにしてご覧ください。



鼓隊「ドラムマーチ」「さんぽ」
「鼓隊どうしようかな。」と最初に保育者から子どもたちに投げかけた時のこと。憧れの鼓隊に「やりたーい!!」という答えが多数あるなか、「やりたくない。」「太鼓重いから嫌。」「太鼓の音うるさいから嫌い。」という声もありました。もちろんそれも大切な思い。「そうなんだね。わかったよ。」と真摯に受け止めました。さあ、どうしよう…ここからどうしていくか。「とにかく楽器に触ってみよう!」ということからスタートしました。大太鼓、シンバル、ダブル、トリプル、中太鼓、小太鼓、全部を並べて、順番に好きな楽器に触れ、音を出して楽しみました。すると「これならやってみたいかも。」「やってみたら楽しかった。」と、「やりたくない。」が「できるかも。」に変わっていく姿がありました。ここには、やりたくないという思いに対して「できないことはない。失敗してもいいから挑戦してほしい。」「難しい事でも、少し頑張れば乗り越えられる達成感を感じ、自信をつけてほしい。」という保育者の願いがありました。そして次はパート決め。それぞれがやりたいパートをみんなの前でリズム打ちをし、みんなで聞き合い、「どうだった?」と話し合い、決めていきました。やりたいこととできることは違うということに、挑戦することで気づき、気持ちに折り合いをつけることも知りました。練習を始めてからは、リズムが覚えられなかったり、太鼓の重さに涙が出たり、「やっぱりできん。」「でも、もう少し頑張る。」という気持ちの揺れを経験しました。毎日少しずつ練習を重ね、なかなかみんなの音が合わない時期も乗り越え、上手になっていくのを子どもたち自身も感じることができるようになると、表情がぐっと変わり、自信もって音を出せるようになっていきました。また、インフルエンザで休んでいた子の、休み明けに「先生、お家でも練習してたよ。」という声を聞き、責任感が芽生えていることに成長を感じました。一人一人が主役。みんなで音を合わせて、楽しくお家の方たちに演奏を届けたいと思います。

今回の発表会、正直練習不足は否めません。でも、その中でも諦めずに頑張ってきた子どもたちの力を信じて、本番を迎えたいと思います。当日は緊張もあり、いつも通りにはいかないかも知れません。それでもその背景に、ここまでやってきた子どもたちの日々の姿を思い浮かべながら、あたたかく見守っていただけたら幸いです。


